やっとできました。

振り返ってみると、小さな困難の連続でした。

まず、タイトな予算で力量のあるイラストレーターさんを探すのが困難を極めました。今回の本ではイラストがかなり重要な要素であり、難しい問題をいかにイラストで端的に伝えるか、イラストレーターさんの力量にゆだねるところがかなりあったからです。

ようやくイラストレーターさんが見つかったと思ったら、「子どもにアピールするためには、ナビゲーターとなるキャラクターも必要」という話になり、急遽、キャラクターを描ける人を探すことになりました。しかし、ビジュアル素材に使う予算はもう使い果たしていました。自分のギャラを削ったとしても、キャラクターデザインっていくらかかるの?アマチュアにお願いできるレベルの内容ではないし…と頭を抱えましたが、「!」とひらめきました。わが娘はプロのアニメ制作者ではないですか!!家族価格でお願いできるかも!!

すぐに連絡すると、「ちょうど大きな仕事が終わって一息ついているところ」ということで、すぐに4体のキャラクターのラフを描いてくれました。ざっとした説明しかしなかったのに、本の主旨にばっちり合った、インクルーシブ、ダイバーシティを体現するようなキャラクターです。巻頭マンガのラフも、あの私の説明からよくここまでエッセンスをつかみ取って絵に展開してくれたな、と感動する出来映えでした。(しかしその後、娘は再び大作にかかりきりになり、ラフはすぐにできたものの、仕上げは入稿ぎりぎりになってようやくできました。本当にヒヤヒヤでした)

メインのイラストでは度重なる修正があり、これも苦労したことです。イラストレーターの中根ゆたかさんがいつもポジティブ思考の方で、快くリクエストに応じてくれたのはありがたく、感謝に堪えません。

そして、肝心の原稿ですが、最初は「すでにたくさんのSDGs本が出ているのに、差別化ができるのだろうか」と不安でした。しかし著者の平本督太郎先生がすばらしく知見のある方で、ほかの類書とは全く異なる視点で原稿を書いてくださりました。また、先生とSDGs活動を通じてつながっている、たくさんの小中学生が事前に原稿をレビューしてくれたことで、本書をより小学生に伝わる本にすることができました。

最後の最後に、肝を冷やすプチ事件がありました。SDGsのロゴマークを使用するためには国連に許諾を取らねばならないのですが、私が使用ルールを読み誤り、教育目的の出版には許諾がいらないと思い違いをしていました。入稿直前に、改めてルールブックを読み直し、出版も商業目的となるので許諾がいることがわかりました。慌てて英文の許諾願いを作って(英語を勉強していてよかった。。)国連にメールを送ると、「問い合わせが殺到しているので返事は遅れる」と書かれたオートリプライが…。遅れるってどのくらい?2週間とか3週間かかったら発行予定日に間に合いません。発行日は著者の平本先生の講演会でお披露目できるように設定しています。遅れるわけにはいかないのです。しかも、もし返事が「ロゴの使用は不可」というものだったら? 最悪、ロゴを全く使用しないデザインで作り直すか、という案もでましたが、ロゴなしでSDGsの解説をするのはそもそも無理。頭を抱えました。時差があるので、返信があるとしたら夜中~明け方。毎朝、起きるとすぐメールチェックをしてはがっくりする日々がつつきました。が、結果的には、土日をはさんで3日後には「OK」の回答。ぎりぎり入稿に間に合ったのでした。。その3日のなんと長く感じたことか。

そんなこんなで完成した本なので、思い入れもひとしお。真っ白なページをどうやって埋めようと頭を悩ませた日々も懐かしい。あとは多くの人が手にとって、この本から何かを学んでくれることを望むばかりです。